2016年2月2日火曜日

カブキマスクが勝手に考えるハイファンタジー~重量と質量とフルプレートと~3

 昔の流れ人が作ったと言われる『イクサノジョー』巨人と少女はその中に立ち入っていた。



ここが少女の家であるからか、少女の足取りは軽い。逆に巨人の足は少し止まって歩くことを続けている。周りの風景、家の作りに驚きを隠せないようである。
「ほお・・・この柱・・・一度も作りなおしていないでこの強度・・・、殴りがいがありそうな・・・。」
「私の家で何を考えているんです?」
「いや・・・この木材は一体何であるのかが気になってな、それと壁も土壁とは違う、置いてある道具も見たことのないものばかりで心が奪われるな・・・。」

巨人の感嘆の声に比例するかのように上機嫌になる少女
「そうでしょうそうでしょう!ここは由緒正しきイクサノジョーですからね!」
「由緒か・・・確かに落ち着く作りをしている、所で君のお婆ちゃんは」
「そうでした、ご案内します。最上階で・・・今は寝ているはずです。」

イクサノジョー、4層目。そこにベッドと、老婆が椅子に座って外を眺めていた。
「お婆ちゃん!ただいま!歩けるようになったの!?」
「おや、お帰り。見ての通りで体力は十分戻ったさ。所でお使いは終わったのかね? 」

「あの・・・それが・・・。」
少女が謝罪の言葉を言う前に巨人がそれを遮る。

「やはり貴方でしたか!!」
「おや?そのでかい声とでかい身体はもしかして・・・。」
「ええ!私ですよ『師匠』!!ハッハッハッハッは何年、いや十数年?どれだけぶりか!!」

突然の師匠発言である、度肝を抜かれたのは少女である。
「え?お二人はお知り合いなんですか?」

「ああ、古い・・・か?古い付き合いだったかな『師匠』とは。」
「そうだねえ・・・目を瞑るとあの頃が・・・思い浮かばないねえ・・・。」
「ハハハハハ 、私も思い出せませんよ!」

何か妙な雰囲気である、それを察した少女が口を開く
「あの、私・・・。お茶とお茶菓子用意してきますっ!!」
「おや、気が効くようになったじゃないか。良いレディーだよあんたは。その前に鎧を脱いで着替えておいで、ここにはあたしらしか居ないんだから。」
「はいっ!着替えて用意したらお茶とお茶菓子用意してきますねっ!」

 ガシャガシャと少女が走る。足音が消えた後ゆっくりと巨人が静かに口を開く。
「久しぶりだ・・・本当に久しぶりだな・・・師匠・・・『鏡の大魔女』よ。」
「ヒヒ・・・そう言われるのも何年ぶりか。そして弟子とは思っとらんかったがこの私を師匠と読んでくれるかい。」
「当然だ、少なくとも貴方は俺の恩人であり、この魔法の本質を見ぬいて一人で行きていけるまで育ててくれた。その恩を忘れてはいないさ。」
「ありがたいこと言うじゃないか、私は涙が出そうだよ・・・。」

 巨人の言葉が強くなる。
「それ故に解せないな、なぜあんな年端も行かない娘にあんな鎧を着せてたびに出した。『勇者』という妙な言葉を使って炊きつけて、あまつさえ『俺の魔法をコピーして』までだ。身体の負担が尋常じゃない上に今の老婆の身体で使った所で半日と持つわけが無いだろう。それなのになぜあの格好で行かせたんだ、偶々俺が通りかかっていなきゃ彼女は今頃壊されていた・・・。」
老婆は笑いながら応える
「ヒヒャヒャ。私の異名を忘れてるんじゃないかい、お前さんが近くに要ることは私の魔法で分かっていたさ。後は簡単に想像が付く、鍛えるのが好きなお前さんは街道を走る、そこで出会ったらあんたの性格上放おって置かない。後はご覧のとおりさ。」

 更に巨人の言葉が強くなる
「その前に盗賊でも出たらどうするんだ!!」
「あの娘を舐めてたら行かんよ、体躯の差以外はそこらの街程度では騎士団長すら張れる腕の持ち主さ」
「冗談を!だいたい昔から貴方は冗談と本音の見分けがつかん!!」
「それはお前さんも一緒じゃろうて、わざわざ殺気までだしてあの子を追い出しよってからに。」
「ならば後であの娘と手合わせでもさせてもらおうじゃないか!!」
「言うと思ったよ、 今のあんたとどっちが強いだろうねえ、楽しみになるよ。」

パタパタパタパタパタパタパタ・・・

 軽い足音が聞こえる。 どうやら少女が戻ってきたようだ。
「お待たせしました、お茶とお茶菓子です。」
「おお、鎧を脱げば可愛いお嬢ちゃんじゃないか!」
「じゃろ、私の自慢の孫さね。」

さっきの怒気はどこへやら、少女の話で盛り上がる2人がそこに居た。

0 件のコメント: